建設業許可Q&A
建設業許可に関する疑問を解決
建設業許可の制度全般
建設業の許可を受けるには何が必要ですか?
建設業の許可を受けるには、次の5つの要件が必要です。
- 経営業務の管理責任者としての経験がある者を有していること
- 専任の技術者を有していること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 欠格要件に該当していないこと
建設業法における営業所とは何をさすのですか、また建設業以外の他業種だけを取り扱う支店等も営業所に該当するのですか?
建設業法での営業所の定義は、「本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とされています。
つまり、建設業以外の他業種だけを取り扱う支店や事務所等は営業所には該当しません。また、建設業を取り扱っている事務所であっても、建設工事の請負契約を常時には締結していない事務所は営業所の定義に該当しません。
建設業許可を受けるにあたって、特定建設業と一般建設業の違いは何ですか?
特定建設業と一般建設業では、元請として工事を請け負った場合に下請に出せる金額が異なります。
発注者から直接請け負った建設工事について、下請金額の総額が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上となる下請契約を締結して施工しようとする場合には特定建設業の許可が必要になります。この金額は、下請1社についてではなく、その工事1件について下請に発注した金額の合計を指します。
一般建設業でも特定建設業でも請負金額自体に上限はなく、また下請として工事を請け負った場合の再下請負金額の総額にも制限はありません。
滋賀県と、その他の都道府県の二つ以上で建設工事を請け負うための許可区分は大臣許可ですか?
建設業を営む営業所の所在地が、同じ都道府県内のみであれば知事許可、異なる都道府県に所在する場合には大臣許可となります。
施工する現場の場所は関係ありませんので、知事許可の事業者であっても他の都道府県において施工することが可能です。
建築工事業(建築一式工事)の許可を受ければ、建築に係るどのような建設工事でも請け負えるのですか?
建築工事業(建築一式工事)の許可を受けていても、各専門工事の許可を受けていない場合は、500万円以上(税込)の専門工事を単独で請け負うことはできません。
土木工事業(土木一式工事)も同様の扱いとなっています。
建設業法施行令第3条の使用人とはどんな人ですか?
「建設業法施行令第3条に規定する使用人」のことで、法人等の代表権者から、請負契約の見積り、入札、契約締結等に関して権限を与えられた、支店や営業所の代表者を指します。会社の役員等と同様、建設業法第8条に規定する欠格要件に該当する者はなれません。
建設業許可を受けると財務諸表などの申請書が公開されるのですか?
建設業の許可を受けると、建設業法第13条及び建設業法施行令第5条の規定により、許可申請書等は公衆の閲覧に供され、財務諸表も公開されます。
建設業許可の有効期間は何年ですか?また、許可年月日とはいつを指すのですか?
許可の有効期間は、許可を受けた日から5年間です。また、許可年月日とは許可の有効期間の始まりの日を指します。
滋賀県では建設業の許可申請後、どのくらいで許可はおりるのですか?
建設業許可の標準処理期間は、国土交通大臣許可については、おおむね120日程度、県知事許可については30日程度となります。
なお、書類不備等により、標準処理期間内に許可とならない場合があります。
700万円の建設工事を半分に分割して請け負えば許可を受けなくても大丈夫ですか?
一見軽微な工事に該当するように思われますが、法律上は「正当な理由に基づいて分割したとき以外は、分割した額の合計額を請負代金とみなす。」とされています。
この場合では、許可を受けなければ工事を請け負うことはできません。
オペレーター付きのリース契約は建設工事に該当しますか?
建設機械のリース契約でも、オペレーターが行う行為は建設工事の完成を目的とした行為と考えられ、建設工事の請負契約に該当します。
なお、建設機械のオペレーター付きリース契約は労働者派遣法で禁止されている建設業務への労働者派遣に該当する可能性があるため、建設業法に基づく請負契約を締結する必要があります。
社会保険、雇用保険に加入していなければ許可を受けることはできないのですか?
許可申請の際、社会保険等(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)の加入状況について、「健康保険等の加入状況(様式第20号の3)」を提出し、加入状況の確認を受けなければなりません。
社会保険等の加入については、建設業許可要件ではありませんので、未加入をもって不許可とはなりませんが、保険加入義務があるにも関わらず、未加入である場合は文書による加入指導が行われ、なおも未加入の場合は保険担当部局に通報されます。通報後も保険加入が認められない場合には、行政処分が行われることがあり得ますので注意が必要です。
主たる営業所と従たる営業所で、1つの業種について、一方は特定、一方は一般の建設業許可を取得することや、そのように変更することは可能ですか?
主たる営業所が持つ一般・特定の区分を超えて、従たる営業所が許可を取得・変更することはできません。例えば、ある業種について主たる営業所と従たる営業所で特定建設業を取得している場合で、従たる営業所の専任技術者の交代に伴い、一般建設業しか担当できなくなった場合は、従たる営業所の当該業種を廃止するか、主たる営業所の特定建設業許可を一般建設業許可にする必要があります。
建設業の許可を受けずに軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は建設業法の適用を受けないのですか?
軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、建設業の許可(法第3条)を受ける必要がないだけで、原則として建設業法の対象となっています。
したがって、軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者によって建設業法に違反するような建設工事が行われた場合には、その工事が施工されている区域を管轄する知事がその業者等に対して、指示処分又は営業停止処分をすることができると建設業法に規定されています。
※)許可を受けないで建設業を営む者に適用される建設業法の主な規定
- 公正な請負契約の締結義務・請負契約の書面締結義務等
- 建設工事紛争審査会による紛争解決
- 都道府県知事による指示処分及び営業停止処分
- 利害関係人による都道府県知事に対する措置要求
- 都道府県知事による報告徴収・立入検査
- 都道府県知事による指導・助言・勧告
一式工事と専門工事の違いは何ですか?
一式工事とは、①原則元請として請け負った、②総合的な企画・指導・調整のもとに建築物または土木工作物を建設する工事であり、③工事の規模、複雑性等からみて、個別の専門工事(大工工事、屋根工事など)として施工することが困難な工事とされています。
一方で、専門工事とは、大工工事、屋根工事などの工事内容の専門性に着目して区分された個別の工事種類で、一式工事となる大規模、複雑な工事を除いたものです。
なお、一式工事の許可を受けた者が、一式工事以外の個別の専門工事を請け負う場合は、その専門工事の許可を別途受けなければならない(軽微な建設工事を除く)ことに注意しておく必要があります。
技術者の現場専任制度とは何ですか?
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事(個人住宅を除くほとんどの工事が該当)で、請負金額が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上のものについては、当該工事に置く主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに専任の者でなければならない(法第26条第3項)とされています。
この場合の「専任」とは、工事目的物の品質の確保を徹底する必要から、他の工事の主任技術者又は監理技術者及び「営業所の専任技術者」との兼務を認めないというものです。
大規模工事を受注した際に、監理技術者又は主任技術者のどちらを配置するかの判断はどのようにすればいいですか?
工事受注後速やかに、専門工事業者等への工事外注計画を立案し、下請契約の予定額が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上となるかを的確に把握し、下請契約の予定額が3,000万円以上となれば当初から監理技術者を配置することとなります。
また、下請契約の予定額が3,000万円未満であれば主任技術者を配置することとなりますが、監理技術者を配置する工事に該当するかどうか流動的であるものについては、工事途中での技術者の変更が生じないよう、監理技術者の資格を有する技術者を当初から配置しておくことが必要です。
市町の発注する少額の修繕工事については契約書を交付してもらえない場合がありますが、請負契約書等を省略してもいいのですか?
国においては、会計法の規定により一定金額未満の請負工事契約について契約書の作成を請書の作成に換え又はその作成を省略していますが、県及び市町村の発注する建設工事については、全ての契約について契約書を作成する必要があります。
地方自治体の会計(財務)条例・規則で契約書の作成を省略できることとされている場合でも、建設業法に適用される工事請負契約については、上位法である法第19条の規定が優先されるので、建設工事の請負契約については、金額の大小を問わず、全ての建設工事において請負契約書を取り交わす必要があります。
無許可業者に下請工事を400万円で発注し、この下請工事について必要な材料(150万円相当)を支給しても問題ありませんか?
元請業者から下請業者に対して支給される材料費(市場価格又は市場価格及び運送賃)は全て請負代金に加算されることから、請負金額が軽微な建設工事の範囲を超えてしまうため無許可業者への下請工事の発注はできません。
下請工事400万円+支給材料150万円=550万円≧500万円
また、発注者から直接請け負う1件の建設工事について、下請代金の総額が3,000万円(建築工事業については4,500万円)以上になる場合は、特定建設業の許可が必要です。なお、3,000万円以上の工事に該当するか否かを判断する際には、元請負人が提供する材料等の価格は含みません。
技術者の資格を持っている個人と元請業者との間で工事期間中、雇用契約を締結した場合、主任技術者又は監理技術者となることができますか?
主任技術者又は監理技術者については、工事を請け負った建設業者と「直接的かつ恒常的な雇用関係」が必要とされています。したがって、その工事期間中のみの短期雇用については「恒常的な雇用関係」とは言えず、主任技術者又は監理技術者になることはできません。
また、派遣や単なる出向などについても、「直接的な雇用関係」があるとは言えないため、主任技術者又は監理技術者になることは原則できません。ただし親会社及びその連結子会社の間の出向社員については一定の条件のもとであれば主任技術者又は監理技術者に配置することができます。
請負金額2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上の工事については、主任技術者又は監理技術者の専任配置が必要ですが、工事の途中で同等以上の資格を有する技術者に変更することはできますか?
建設工事の適正な施工の確保を阻害する恐れがあることから、主任技術者又は監理技術者の工期途中での交代は原則認められていませんが、主任技術者又は監理技術者の死亡、傷病または退職等、真にやむを得ない場合のほか次の場合等については交代が考えられます。
- 受注者の責によらない理由により工事中止または工事内容の大幅な変更が発生し、工期が延長された場合
- 橋梁、ポンプ、ゲート等工場制作を含む工事であって、工場から現場へ工事の現場が移行する時点
- ダム、トンネル等の大規模な工事で、一つの契約工期が多年に及ぶ場合
ただし、いずれの場合であっても、発注者と発注者から直接工事を請け負った建設業者との協議により、交代の時期は工程上一定の区切りと認められる時点とするほか、交代前後における主任技術者又は監理技術者の技術力が同等以上に確保されるとともに、工事の規模、難易度等に応じ一定期間重複して工事現場に配置するなどの措置をとることにより、工事の継続性、品質の確保等に支障がないと認められることが必要です。
受注した一式工事の中には、建設業の許可を受けていないとび・土工工事や、電気工事などの専門工事が含まれています。この場合、許可を受けていない専門工事の施工はどのようにすればいいですか?
専門工事を請け負う場合には、原則として、工事の種類に応じた専門工事業の許可が必要ですが、一式工事の許可業者が一式工事として請け負う工事の中に専門工事が含まれている場合は、その専門工事業の許可を持たなくとも施工することができます。
※)一式工事の許可を受けていればすべての業種の工事を請け負うことができるという意味ではありません。
この場合は、下記のいずれかの方法で施工する必要があります。ただし、当該専門工事が「軽微な建設工事」に該当する場合は、その必要はありません。
- その専門工事について主任技術者たる資格を持っている者を、「専門技術者」として配置して施工する。(受注した一式工事の主任技術者や監理技術者がその資格を有している場合は兼務してもよい。)
- その専門工事について建設業の許可を受けている専門工事業者に下請負させる。
請負額が2,500万円未満の工事については、主任技術者が二つ以上の工事を兼務できるとされていますが、主任技術者が現場代理人を兼務している場合でも複数の工事の主任技術者になることは可能ですか?
建設業法上は請負額が2,500万円未満の工事について、主任技術者が二つ以上の工事を兼務することは可能です。ただし、県発注の工事などについては、現場代理人は当該工事現場に常駐することを求められていることがあり、主任技術者が現場代理人を兼務した場合、請負契約約款により現場への常駐が求められ、主任技術者が現場代理人を兼務した場合にはほかの工事の主任技術者になることは現実的に不可能ということになってしまいます。
いずれにしても、発注者へ確認する必要があると考えます。
営業所の専任技術者の職務等とはどんなものですか。また専任のものとはどのような意味ですか?
営業所の専任技術者については、建設業の営業の中心である営業所において、建設工事に関する適正な契約の締結及びその履行を確保することが主な役割です。そのため、建設業法では、「その営業所ごとに、建設工事の施工に関する一定の資格又は経験を有する技術者で「専任のもの」を置かなければならない(法第7条第2号)と規定しています。
そして、この「専任のもの」とは、その営業所に常勤して専ら職務に従事することを要する者のことです。したがって、職員の場合は、事業主と継続的な雇用関係があり、通常の勤務時間中はその営業所に勤務していることが必要です。
「専任のもの」=「専ら」+「任せる」+「者」
契約書等に記載する項目は、具体的には何がありますか?
次に掲げる項目は必ず記載しなければならない重要項目です。(ただし、4、9、12の項目について定めをしない場合は記載をする必要はありません。)
- 工事内容
- 請負代金の額
- 工事着手の時期および工事完成の時期
- 前払金または出来高払の時期および方法
- 当事者の申し出があった場合における工期の変更または損害の負担およびその額の算定方法に関する定め
- 天災その他の不可抗力による工期の変更または損害の負担およびその額の算定方法に関する定め
- 価格等の変動もしくは変更に基づく代金の額または工事内容の変更
- 工事の施工により第3者が損害を受けた場合における賠償額の負担に関する定め
- 注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機会を貸与するときは、その内容および方法に関する定め
- 注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期および方法ならびに引き渡しの時期
- 工事完成後における請負代金の支払の時期および方法
- 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
- 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
※)建設リサイクル法対象工事の場合は、以下の4項目を加えて記載しなければなりません。
- 分別解体の方法
- 解体工事に要する費用
- 再資源化するための施設の名称および所在地
- 再資源化等に要する費用
電気工事の許可を受けている者が、建築物の電気配線工事を請け負う際に、内装の一部を改修する必要が生じた場合、この内装仕上工事(500万円以上)を請け負うためには内装仕上工事の許可が必要ですか?
必要ありません。
建設業者が許可を受けた業種の建設工事を請け負う場合に、その建設工事に従として附帯する他の種類の建設工事(附帯工事)に係る許可を受けていない場合でも主たる工事と一体として請け負うことができます。
附帯工事を自ら施工するときには当該工事業の主任技術者の資格要件を満たす者(専門技術者)を置く必要があり、専門技術者を置くことができない場合には、当該附帯工事に係る建設業の許可を受けた建設業者に当該工事を施工させなければなりません。
なお、附帯工事が主たる工事の請負金額を上回ることはなく、附帯工事自体が独自の使用目的に供されるものではありません。
社会保険未加入対策とはどのようなものですか?
建設業において必要な人材を確保し、健全な競争環境を構築するため、平成24年度から、行政も建設業界を挙げて社会保険未加入対策に取り組んでいます。
開始5年後(平成29年度)を目途に加入義務のある建設業許可業者の企業単位での社会保険未加入率を100%に引き上げ、工事現場から未加入者を排除することを目標とするものです。
個人で許可を受けている父から長男が事業を引き継ぎました。建設業の許可も引き継ぐことは可能ですか?
建設業の許可は父個人に対して与えられたものであり,長男が許可をそのまま引き継ぐことはできません。そのため,父の建設業許可について廃業届を提出し,長男が新規で許可申請を行う必要があります。また,下記の要件を満たせば許可番号を継承することも可能ですので,事前に土木事務所にご相談ください。
- 当期事業年度開始日からさかぼって3年以内に個人の建設業者から営業の主たる部分を承継したこと
- 被承継人が建設業を廃業すること
- 被承継人の事業年度と承継人の事業年度が連続すること(やむを得ない事情により連続していない場合を除く)
- 承継人が被承継人の業務を補佐した経験(専従者としての経験)を有すること
なお,許可番号を継承した場合,工事経歴書等で被承継人の工事実績を引き継ぐことができますので,経営事項審査の際にも完成工事高を記載することが可能です。
建設業を営むには必ず許可が必要ですか。また、申請をすれば誰でも許可を受けることができるのですか?
建設業を営もうとする方は、下記に掲げる工事(軽微な建設工事)のみを請け負う場合を除いて、建設業の許可が必要になります。
【建築一式工事】
1件の請負代金が1,500万円未満の工事(税込金額)
請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延面積が150平方メートル未満の工事(主要構造部が木造で、延面積の1/2以上を居住の用に供すること。)
【建築一式工事以外】
1件の請負代金が500万円未満の工事(税込金額)
※注文者が材料を提供する場合には、材料の市場価格を加えた金額で判断することになります。また、工事請負契約を2つ以上に分割して請け負う場合、原則として各契約の請負金額を合計した額で判断します。
※建設工事は、土木一式工事及び建築一式工事の2つの一式工事と大工工事、電気工事等27の専門工事の合計29の種類に分かれており、業種別の許可制度がとられています。
なお、以下の場合には、軽微な建設工事のみを請け負う場合でも他法令により登録が必要になりますので注意してください。
解体工事を行う場合 「解体工事業登録」
浄化槽設置工事を行う場合 「浄化槽工事業登録」
電気工事業を行う場合 「登録電気工事業者登録」
次に、建設業の許可を受けるためには、下記の要件を満たす必要があります。
なお、下記要件を満たせば、個人・法人を問わず許可を受けることができます。
- 経営業務の管理責任者がいること
- 専任技術者者を営業所ごとに置いていること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 欠格要件に該当しないこと
機会を据え付ける工事ですが、機械の金額は高額であるものの据付工事費は数十万円程度です。この場合にも許可は必要ですか?
資材代金や材料費が請負契約に含まれていない場合であっても、据え付けるべき機械の価格と、据付工事費の額を合計して500万円以上となった場合は、建設業の許可が必要となります。
これは、建設業法施行令第1条の2第3項「注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送賃を当該請負契約の請負代金の額に加えたものを請負代金の額とする」の定めによるものです。
二以上の都道府県に出先事務所を設けていますが、出先事務所に契約締結させる権限は与えておらず、全て本店で一括契約しています。この場合の許可区分は知事ですか、大臣ですか?
建設業法上での営業所の定義は、建設業法第3条及び建設業法施行令第1条で「本店または支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とされているところです。
つまり、建設業以外の他業種だけを取り扱う支店・事務所は営業所には該当しませんし、建設業を取り扱っている事務所であっても、常時建設工事の請負契約を締結していない事務所は営業所に該当しません。
この本店一括契約の場合は、出先事務所に契約締結権限が与えられていませんので、建設業法上の営業所に該当しません。ですから、必然的にその本店所在地を管轄する都道府県知事の許可となります。
もし、契約権限のない出先事務所等を許可行政庁に営業所として届出している場合は、営業所廃止の手続きを取ってください。なお、ここでいう営業所廃止とは、実際に閉所、閉鎖するということではなく、建設業許可行政庁へ営業所として届け出る必要がない(届け出るべきではない)事務所等であるため、その許可行政庁への届出から外すということを意味するものです。
工事現場に掲げる「建設業の許可票」は、少額の工事や下請工事でも掲示しなければなりませんか?
法第40条では建設業者は建設工事の現場ごとに、一定の標識を掲げることを義務付けています。この規定には例外規定はありませんから、工事の大小、元請・下請を問わず建設業の許可を受けた者が工事を行うときは、標識掲示が必要です。
したがって、建設工事の現場にはその工事に携わるすべての建設業者の「建設業の許可票」を公衆の見やすい場所に掲示することが必要です。(法第40条)この掲示を怠ると、建設業法違反になり罰則の適用がありますので注意してください。
標識の記載事項(規則第25条第1項)
- 一般建設業又は特定建設業の別
- 許可年月日、許可番号及び許可を受けた建設業
- 商号又は名称
- 代表者の氏名
- 主任技術者又は監理技術者の指名
道路維持管理業務委託や電気設備・消防設備の保守点検業務は建設工事に該当しますか?
建設工事に該当するかどうかは発注者との契約内容により判断されますが、原則、請負契約によらないものは建設工事に該当しません。また、以下のものも建設工事には含まれませんので、注意してください。
【建設工事に該当しない業務の例】
樹木の剪定、除草、除雪、測量、設計、地質調査、建設機械リース(オペレーターが付かないもの)、船舶修理、側溝・水路の清掃
水路、側溝、汚水管等の「しゅんせつ」を請け負いましたが、建設工事(「しゅんせつ工事業」)に該当しますか?
河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事が建設工事(「しゅんせつ工事業」)に該当するとされているため、通常、水路、側溝、汚水管等の汚泥等を清掃するだけでは建設工事(「しゅんせつ工事業」)に該当しません。
500万円以上の家屋内の上水道配水工事を行う際、「水道施設工事業」と「管工事業」のどちらの許可が必要でしょうか?
上水道等の取水、浄水、配水等の施設及び下水処理施設内の処理設備を築造、設置する工事が「水道施設工事業」に該当し、家屋その他の施設の敷地内の配水工事及び上水等の配水小管を設置する工事は「管工事業」に該当するため、「管工事業」の許可が必要となります。
機械機具の据え付けだけでは、「機械器具設置工事業」に該当しないのですか?
国の告示では、機械器具設置工事の工事内容として「機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取り付ける工事」とされていますので、機械器具の組立もなく、単に完成品を架台等に据え付けるのみでは「機械器具設置工事業」には該当せず、「とび・土工工事業」に該当します。
太陽光発電工事を請け負う場合、どのような業種の許可が必要ですか?
太陽光発電工事(税込500万円以上)については、発電設備工事に該当すると考えられることから電気工事業の許可が必要となります。ただし、太陽光発電パネル自体が屋根材として機能するものを住宅等の屋根に設置する工事については、屋根工事に該当します。
また、太陽光発電設置工事を含む大規模の建設物を一括して元請で請け負う場合には、「建築一式工事業」の許可が必要となる場合があります。
注文があったのですが、どの業種に該当するかはっきりとしません。このような場合どうすればいいですか?
実際の建設工事は、明確な単一業種だけの工事という例は少なく、複数業種からなる例が多いと思われます。そのため、どの業種に該当するのか断定できない場合もあります。
業種間違いや不適切な運用は、違法な無許可営業となる場合もあります。そして何より懸念されることは現場に適した知識と経験を有していない者が監理技術者等となり、品質等に悪影響を及ぼす不良施工となる(発注者に不利益を及ぼす)ことです。
請け負おうとする業種を判断するうえでは、表面的な注文内容で即判断するのではなく、必ず営業所の専任技術者等が発注者との十分な打合せなどに基づき、請け負おうとする工事の現場で要求とされる技術や経験は何であるか、その資格者を必要とする業種は、また、その許可を有しているかなどと、請け負おうとする現場の適正な施工監理とその契約履行を前提とした逆算的な業種判断をすることが重要です。もちろん、この判断において、許可を有していない業種である、適切な技術者が配置できない等々と判断されれば、請け負ってはいけません。
一式工事の許可だけで下請受注できますか?
原則としてできません。(法22条第3項該当を除く)
一式工事は「総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物、建築物を建設する工事」とその内容が告示されています。つまり、元請施工監理を対象とする許可区分であり、けっして各分野全般を一式的に包括する上位許可区分ではありませんし、また、その許可の範囲に下請施工は元来含まれていません。
なお、一括下請負禁止規定において、元請負人は請け負った工事に「実質的に関与」することが必要であり、この「実質的に関与とは、元請負人自らが総合的に企画、調整及び指導を行うことをいうとなっているため、一式工事許可で下請けをすると必然的に一括下請けに該当する違法行為に該当することにもなります。
建設工事に該当するかどうかは、どのような基準で判断すればよいですか?
明確な線引きができないところで、個々具体で判断することとなります。まず、建設業法では次のように定められています。
(建設業法第24条)
委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
これは、契約の名義が如何なるものであっても、工事(補修、改造又は解体を含む)の完成を目的とするものであれば、建設工事の請負契約とみなされるということを意味します。
たとえば、「点検」が建設工事に該当するかどうかについて考えてみますと、「点検」の業務内容に既設工作物の補修等が含まれていれば該当しますし、単なる計器等による確認作業のみであれば該当しません。
では、もう少し踏み込んで、「蛍光灯の取り換え」はどうでしょうか。蛍光灯の取り替えは定着物を対象とする修繕には違いないのですが、特別な知識や経験を必要とせず一般的に誰でもできる行為だと考えられますので、これは工事ではなく役務と取り扱うべきところです。この場合は建設工事に該当しないことになります。
以上のことをまとめると、特別な知識や経験を必要とするかしないか、分かりやすく言い換えれば、一般的に自分でもできうる行為を他の者にやってもらう場合が役務であり、一般的には自分でできないため他の者にやってもらう場合が工事であると考えられます。
※)なお、「点検」の場合であっても建設工事該当する場合、その工事請負契約額が軽微な範囲を超えれば建設業の許可が必要です。また、どれほど少額修繕であっても、建設業者は適正な資格を有する主任技術者等を配置して上で、その修繕にあたらなければなりません。
警備会社と契約しガードマンを派遣してもらうことは下請負契約に該当しますか?
ガードマンの派遣については、派遣契約にあたるものと考えられ、建設工事の下請負契約には当らないものと考えられます。
建設業法第24条で「請負契約とみなす場合」として、「委託その他何らの名義をもってするを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。」とされており、契約の実態に則して判断する必要があるとされています。
建設業許可を取得する前に法人成りする場合、どのようなことに注意すればよいですか?
建設業許可を取得する前に法人成りする際は、下記のような事項に注意する必要があります。(ちなみに法人成りとは、個人が法人に変わることで、たとえば株式会社などの会社を設立することです。)
▪会社の設立項目を決定し、定款(ていかん=会社の決まり事)を作成するときに気を付けるべきこと
1.経営業務の管理責任者になる者を取締役の一人にする
個人の場合は、事業主が経営業務の管理責任者になることがほとんどですが、法人の場合は社長(代表取締役)が経営業務の管理責任者である必要はありません。たとえば、法人成りして事業主が代表取締役に就任せずに取締役になったとしても、建設業許可の経営業務の管理責任者の要件を満たすことはできます。
2.資本金の設定を500万円以上にする(特定建設業の場合は2,000万円以上)
一般建設業許可の財産的基礎の要件は500万円以上とされていますので、資本金は500万円以上が望ましいといえます。(特定建設業許可は2,000万円以上)
しかし、建設業許可の取得がもう少し先の場合や、会社設立時には資金繰りがうまくいかない場合には無理に財産的基礎の要件を意識する必要はありません。建設業許可申請の際に、銀行の残高証明で対応することも可能です。
3.会社の事業目的に、取得したい建設業の種類を記載する
具体的に取得したい業種を記載しておくことが望ましいですが、書き方によっては全29業種をカバーすることもできます。将来的な事業展開も視野に入れて考えることが重要です。ここの内容がまずいと建設業許可が取得できない(定款を変更しないといけない)場合があるので要注意です。
滋賀県知事許可を受けている建設業者の許可申請書は閲覧できますか?
滋賀県知事許可を受けている建設業者の許可申請書は、基本的に誰でも閲覧することができます。ただし、県の定めた閲覧方法に従う必要がありますので、閲覧を希望される場合は次の点に注意してください。
・閲覧場所
滋賀県庁新館5階 滋賀県土木交通監理課内(建設業係)で閲覧することができます。なお許可申請書は閲覧場所の外へ持ち出すことはできません。
・閲覧可能日時
火、木曜日の9時から12時および13時から16時とされています。
※)ただし、第四木曜日および閉庁日は閲覧できません。
・閲覧件数
1名につき、1回10件まで、1日50件まで(最大3時間程度)が上限です。
なお、閲覧するには、閲覧場所に備え付けの閲覧請求書に所要事項を記入した後、係員に申し出ると閲覧することができます。
建設業許可申請書の閲覧には個人情報も含まれますか?
建設業許可を受けて許可業者になると許可申請書が公開され、誰でも閲覧できるようになります。この場合、許可申請書に含まれている個人情報については法改正により閲覧できなくなっています。
許可申請書には、工事経歴書や財務諸表など許可業者の工事実績や経営状況を確認する書類だけでなく多くの個人情報も含まれています。
いくら許可業者になったとはいえ、すべての個人情報まで閲覧されると考えると少し不安ですよね。
そこで、平成27年4月1日以降に申請された書類については、個人情報を除いて閲覧できるように変更されています。
閲覧の目的は、許可業者の工事実績や経営状況を確認するためでもありますので、個人の住所や生年月日については閲覧できなくなったわけです。
ちなみに、平成27年3月31日以前に申請された書類については、この法改正は適用されていません。
建設業許可の新規申請
建設業許可の要件に含まれる実務要件とは具体的にどのような経験をいうのですか?
許可の要件に含まれる「実務経験」とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての経験のことで、建設工事の雑務のみの経験年数は含まないとされています。
建設工事の発注にあたって設計技術者として設計に従事し、または現場監督技術者として監督に従事した経験、土工およびその見習いに従事した経験等も含めて「実務経験」として取り扱います。
役員経験者がいなくても建設業許可を受けられる可能性はありますか?
他社の建設業で役員経験のある者を雇うことで許可要件を満たすことも可能です。また他社から役員経験者を雇うことが難しい場合でも、自社の確定申告書等でカバーできることもあります。
出向者を経営業務の管理責任者や専任技術者にすることはできますか?
出向者の方も経営業務の管理責任者や専任技術者にすることができます。その場合、通常の常勤性の確認書類のほか、出向契約書、出向協定書、出向者の賃金の負担関係を示すもの、出向元の健康保険被保険者証等を確認資料として提出する必要があります。
建設会社の監査役として5年以上の経験があるが、経営業務の管理責任者になることはできますか?
監査役とは代表取締役・取締役の職務執行を監査する機関であり、役員ではありません。したがって、監査役の経験で経営業務の管理責任者となることはできません。
また、監査役は使用人でもないため、専任技術者になることもできません。
専任技術者は、他社の技術者や管理建築士、宅地建物取引主任者等を兼務することができますか?
専任技術者が他社の技術者となることはできません。また、原則として他の法令で専任を要求されている者と専任技術者を兼務することはできません。
ただし、同一の企業で、同一の営業所である場合は兼務できます。
建設業許可の財産的要件である500万円以上の残高証明書とは、複数の金融機関の証明書を合算して500万円であればよいのですか?
複数の金融機関の残高証明書であっても、同じ証明日で残高を証明したものであれば、合算して500万円を超えている場合には認められます。
経営業務の管理責任者の経験年数には非常勤期間も入りますか?
非常勤期間も経験年数に入れられます。ただし、経営業務の管理責任者となるためには、現在の企業で常勤であることが必要です。
経営業務の管理責任者証明書や実務経験証明書は誰が証明するのですか?
自社での経営業務の管理責任者としての経験や実務経験を証明する場合は、申請者(法人又は個人事業主)が証明することになります。
他社での経験を証明する場合については、証明を受ける方が在職していた当時の法人又は個人事業主が証明します。
なお、以前勤めていた会社が倒産した場合など、正当な理由があり、この方法をとることができない場合には理由を記載し、当時の代表取締役に証明をもらう必要があります。
建設業許可を受けるための要件である、財産的基礎・金銭的信用とは何ですか?
建設業の許可を受けて請負契約を履行するために必要とされる経済的水準のことをいいます。請け負う建設工事の規模が異なることから、一般建設業と特定建設業では異なる基準が設けれれています。
【一般建設業許可】
以下のいずれかに該当することが必要です。
- 直前の決算において、自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力のあること(取引金融機関の預金残高証明書、融資証明書等で確認)
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること
【特定建設業許可】
申請直前の財務諸表において以下のすべてに該当することが必要です。
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
工事経歴書は、どのように記載すればよいのですか?
工事経歴書は、経営事項審査を「受けない場合」と「受ける場合」とで記載方法が異なります。
【経営事項審査を受けない場合】
- 主な完成工事について、元請・下請、公共・民間を問わず請負代金の大きい順に記載します。記載する件数は、年間工事高の7割の額に達するまでとし、7割まで記載すると工事件数が100件を超える場合は100件までとします。
- 1に続けて、主な未成工事について請負金額の大きい順に記載します。
【経営事項審査を受ける場合】
- 請負工事の完成工事高について、その請負代金の額の合計額の7割を超えるところまで請負代金の大きい順に記載します。
- 1に続けて、1以外の元請工事及び下請工事に係る完成工事について、すべての完成工事高の約7割を超えるところまで、請負代金の大きい順に記載します。
- 2に続けて、主な未成工事について、請負代金の大きい順に記載します。
常勤性の確認書類とはどのような書類ですか?
許可申請や変更届を提出された際、経営業務の管理責任者、専任技術者及び令3条の使用人について、現に常勤しているかどうかを確認するための客観的な証明書類等の提出、提示が求められています。
主な常勤性の確認書類としては、健康保険被保険者証、健康保険・厚生年金被保険者(資格取得確認及び)標準報酬決定通知書、法人税確定申告書の役員報酬明細、雇用保険被保険者資格取得確認通知書があります。
実務経験で専任技術者となる場合に気を付けることはありますか?
実務経験とは、許可を受けようとする建設工事に関する技術上の経験をいい、建設工事の施工を指揮・監督した経験や一歳に建設工事に携わった経験はもちろん、建設工事の注文者として設計に従事した経験や現場監督技術者としての経験も含まれます。ただし、工事現場の雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。
実務経験で専任技術者になる場合には、経験年数を確認するため、1年を12ヵ月として必要年数分の確認資料を提出する必要があります。ただし、経験機関の重複計算はできません。(たとえば内装工事の経験として既に証明されている期間は、他業種の実務経験をその期間で証明することはできません。内装工事ととび・土工工事の2種類を10年実務経験として証明する場合は、各10年ずつの経験が必要となり、合計20年の実務経験が必要となります。
また、実務経験を証明する者が申請者と異なる場合は、証明者の印鑑証明が必要となります。
特定建設業の専任技術者の資格要件にある指導監督的実務経験とは何ですか?
発注者から直接請け負った建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任又は工事現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に始動した経験をいいます。同じく指導監督的な地位にあっても、発注者の現場監督員としての経験等は含まれません。
指導監督実務経験で特定建設業の専任技術者又は監理技術者になる場合(指定建設業を除く)には、1件の請負金額が4,500万円(H6.12.28以前は3,000万円,S59.10.1以前は1,500万円)以上の元請工事に関して2年以上、指導監督的実務経験を有することが必要です。
専任技術者や経営業務の管理責任者が、現場に配置する監理技術者・主任技術者と兼務することはできますか?
営業所の専任技術者は、建設業法において、「営業所ごとに専任の者を置くこと」と規定されています。「専任の者」とは、営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者をいうため、営業所の専任技術者が現場専任を必要とする「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する工事(個人住宅を除くほとんどの工事が該当)」で「請負金額3,500万円(建築一式は7,000万円)以上の重要工事」の監理技術者・主任技術者と兼務することはできません。
また、上記の工事で請負金額3,500万円(建築一式は7,000万円)未満であっても特例(※)を除き、原則として監理技術者・主任技術者と兼務することはできません。
経営業務の管理責任者と監理技術者・主任技術者との兼務についても、経営業務の管理責任者は原則として本社、本店等において休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに、毎日所定の時間中、その職務に従事する必要があることから、上記の専任技術者と同様の取扱いとなります。
特例として、当該営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあるものについては、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある場合に限り、当該工事の専任を要しない監理技術者等となることができます。
「登記されていないことの証明書」及び「身分証明書」とは何ですか?
「登記されていないことの証明書」とは、成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書をいい、「身分証明書」は、民法の一部を改正する法律(平成11年法律第149号)附則第3条第1項又は第2項の規定により成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ないものに該当しない旨の市町村の長の証明書をいいます。
なお、許可申請者(法人の場合は役員(顧問、相談役及び総株主の議決権の100分の5以上を有する個人の株主等は除く))及び令第3条に規定する使用人の方のものが必要です(いずれも提出前3か月以内のもの)。
※)監査役は役員に含まれませんので提出の必要はありません。
健康保険の加入状況(様式20号の3)について、自社が加入している健康保険が「1 加入」と「3 適用除外」のどちらに該当するか判断できません。例示はありますか?
全国健康保険協会(協会けんぽ)及び健康保険組合に加入している場合は、「1 加入」を記載してください。
必要な手続き(健康保険被保険者適用除外承認申請による承認)を行って、全国土木建築健康保険組合(土健保)、国民健康保険組合(建設国保当)に加入している場合は、「3 適用除外」を記載してください。
登記上の所在地と実際に営業を行っている営業所の所在地が異なっているのですが、どのように申請を行えばいいですか?
実際に営業を行っている営業所が建設業法上の営業所に該当しますので,申請も当該営業所を管轄する土木事務所で行うことになります。
申請書に所在地を記載する場合には,登記上の所在地と事実上の所在地を二段書きで記載するのが一般的です。
工事経歴書(様式第2号)の記入にあたり、下請工事を土木一式工事や建築一式工事として分類することができますか?
一式工事とは、総合的な企画・指導・調整のもとに建築物や土木工作物を作ることとされており、原則として元請で請け負った工事が対象となります。
このことから、発注者の書面による承諾を得て、元請負人から一括して工事を請け負った場合を除き、下請で施工した工事を一式工事として分類する事例は極めて少ないと思います。また、一括下請は公共工事については一切できません。
よって、下請工事については、一式工事以外の専門工事に分類するか、その他の建設工事に分類することになります。
建築系の専門学校を卒業しましたが、建築一式工事の専任技術者になるための実務経験は何年必要ですか?
平成28年4月1日から専門学校の取り扱いが変わりました。
専門学校卒業者のうち、「高度専門士」と称する者については大学卒業相当、「専門士」と称する者については短期大学卒業相当、それ以外の専門学校卒業者については高等学校卒業相当として取り扱います。
ご質問者様の場合、建築工事業の指定学科である建築学科を修めた「高度専門士」および「専門士」の場合は卒業後3年(36か月)の実務経験が必要になります。申請の際、卒業証明書の原本を提出してください。
なお、許可を受けようとする建設業の指定学科以外の専門学校では認められません。
申請書に添付する登記簿謄本や証明書の日付は何ヶ月前のものまで有効ですか?
申請時点まで変更がないとして3ヶ月前までのものであれば有効です。ただい、金融機関の残高証明は1ヶ月以内となります。
申請期間の返戻期間が長引いたこと等により審査に期間を要した場合は、再度直近のものの提出を求められることになりますので注意が必要です。
ちなみに、金融機関の残高証明に関して、金融機関の決済等の都合で証明書発行日現在の残高でない場合は、証明書発行日に可能な限り近い日(3営業日程度)の残高であれば可能とされています。
また、複数の金融機関、口座になる場合は、残高日が同一日の証明でなければなりません。
新しく滋賀県知事の許可を受けようとする場合の申請手数料はいくらですか?
新規に滋賀県知事の建設業許可を受ける場合の申請手数料は9万円です。そして、この申請手数料は、滋賀県収入証紙で納入することになります。
「許可替え新規」や「般特新規」も新しく許可を受ける場合に該当しますので、こちらも申請手数料は9万円です。
「登記されていないことの証明書」及び「身分証明書」はどこで手に入りますか?
「登記されていないことの証明書」は全国の法務局・地方法務局の本局窓口で発行されます。
滋賀県内では、大津地方法務局において交付を受けることができます。その他の支局や出張所の窓口では交付を受けることができませんので注意してください。
なお、「登記されていないことの証明書」の交付を受けるには、申請書に収入印紙(1通につき300円)を添付し、窓口で申請します。申請すれば即時発行してもらえます。
また、郵送による交付については東京法務局のみで取り扱っています。詳しくは法務局のホームページをご覧になってください。
「身分証明書」は本籍地を管轄する市区町村の窓口で発行されます。
設立直後でまだ工事実績がありませんが,「工事経歴書」や「直前3年の各事業年度における工事施工金額」は省略してもよいですか?また、設立直後で納税証明書をとることができない場合,何を添付すれば良いですか?
省略はできません。「工事経歴書」や「直前3年の各事業年度における工事施工金額」は工事実績のない場合でも必ず添付してください。その際,「新規設立のため実績無し」等と記載してください。
滋賀県知事許可を受ける場合,県税事務所の受付印のある法人設立等届出書又は事業開始等届出書を添付してください。
登記上の所在地と実際に営業を行っている営業所の所在地が異なっているのですが、どのように申請を行えばよいのですか?
実際に営業を行っている営業所が建設業法上の営業所に該当しますので、申請も当該営業所を管轄する土木事務所で行ってください。申請書類の表紙を含め、申請者欄、届出者欄、証明者欄等の所在地を記載する際には、登記上の所在地と事実上の所在地を二段書きで記載してください。
<申請者欄の記載例>
(登記上)滋賀県草津市□□□1-1-1
(事実上)滋賀県大津市△△△1-2-3
(株)○○○○
申請者 代表取締役 ○○ ○○ 印
建設業の営業所とは何ですか?また、自宅を営業所とすることはできますか?
営業所とは本店、支店、常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対して請負契約の指導・監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば、営業所に該当します。営業所と言えるためには、少なくとも次の要件を備えていることが必要であり、単なる登記上の本店、事務連絡所、工事事務所、作業所などはここでいう営業所には該当しません。
【営業所の要件】
請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
電話、机、各種事務台帳等を備えた事務室等が設けられていること(※)
※自宅を営業所とする場合は、電話、机、各種事務台帳等を備え、居住部分とは明確に区分された事務室が設けられている必要があります。
経営業務の管理責任者の要件で、過去の経営経験はどのような資料で証明するのですか?
大きく2種類の資料を用意する必要があります。
まず、「建設業の経営経験年数が証明できるもの」です。法人か個人かによっても違いますが、下記のような資料を用意して経営経験が5年(7年)以上あることを証明しなければなりません。
【法人】
法人の役員としての建設業の経営経験年数を証明するためには、履歴事項全部証明書など(期間分)が必要です。
【個人】
個人事業者としての建設業の経営経験年数を証明するものとしては、証明期間分の確定申告書などが必要です。
次に、上記期間中に「建設業の工事を請け負っていたことが証明できるもの」が必要になります。
役員をしていた法人が建設業の許可を受けていた場合や、個人事業主として建設業の許可を受けていた場合は、建設業許可通知書を提出することで証明が可能です。
建設業の許可を受けていない場合は、工事内容などが明確にわかる証明期間分の工事請負契約書、工事請書(許可申請者が元請業者側の場合)、注文書(許可申請者が下請業者側の場合)などで証明が可能です。
また、「建設業の経営経験年数が証明できるもの」と「建設業の工事を請け負っていたことが証明できるもの」は、期間(年度)が一致していなければなりません。
建設業許可申請が受理されれば必ず許可が下りるのですか?
滋賀県の場合、土木交通部監理課の窓口で申請が受理されて不許可となるケースはほぼないと考えられます。つまり、「建設業許可申請書が受理される≒許可が下りる」ということになります。
申請をする場合などには、県の担当者が窓口でチェックを行います。要件が満たされているか、証明書類に不足がないか、書類全体の整合性がとれているかなど、細かい点までしっかり見ています。
そして、この窓口でのチェックを通れば申請が受理されることになります。
許可要件を満たしていると判断された結果、申請が受理されたということになりますから、不許可となるケースがほぼないというのもうなずけます。
反対に、許可要件を満たしていないと判断されると、そもそも申請自体が受理されることはありません。
ちなみに、申請が受理されても不許可となるのはどのようなケースがというと、「実は欠格要件に該当していた」というケースが考えられます。
特に、代理人が申請する場合に、依頼人である本人からそのことを聞かされていなかった場合などに起こりえます。
建設業許可の要件は、ご存知の通り、5つの要件をクリアしなければなりません。
①経営業務の管理責任者の要件
②専任技術者の要件
③誠実性の要件
④財産的基礎の要件
そして、⑤欠格要件に該当しないことです。
この⑤欠格要件に該当しないことというのは、書類を見てチェックできるものではないため、県の窓口の段階ではわからない場合があります。
そのため、申請が受理されたあとに発覚して、不許可となるわけです。
許可取得後の変更届等
建設業許可の更新の申請はいつからできますか?
更新申請は許可の切れる日の3ヵ月前から受け付けてもらえます。また、許可を継続して受けるには、許可の切れる日から30日前までに、更新申請の手続きを行う必要があります。
建設業許可の有効期間を過ぎてしまいましたが更新はできますか?
許可の更新はできません。
建設業の許可が必要な場合は、新規に申請手続きをする必要があります。
なお、許可が失効した日から3ヵ月以内で、毎事業年度、変更届出書を適正に提出していた等の要件が満たされる場合は、許可番号を引き継ぐことができます。
許可の有効期間の調整(許可の一本化)とは何ですか?
許可の更新や業種追加の申請を行う際に、既に許可を受けて現在有効な他のすべての建設業の許可について、同時に許可の更新をすることで、許可年月日を同一にすることをいいます。一つの業者が別個に複数の許可を受けていると、許可の更新手続きが煩雑になり、許可の有効期間の失念等の恐れもあることから、それらを解消するための制度です。
なお、異なる申請を同時に行う場合には組合せによりそれぞれ申請手数料がかかります。(たとえば、更新と業種追加を同時に行う場合は5万円+5万円=10万円の申請手数料が必要になります。)
滋賀県内に営業所を新設しましたが、どんな手続きが必要ですか?
営業所を新設した場合には、変更届出書により営業所の新設及び令第3条の使用人についての届出を行い、併せて専任技術者証明書により当該営業所の専任技術者について届出を行ってください。
また、知事許可業者が県外に営業所を設置した場合には、国土交通大臣許可への許可換え新規の申請を行ってください。
法人成りしたとき、個人で取得した許可は引き継げますか?
個人で受けた許可を廃業した後に、新規に許可を申請することになります。
なお、許可を有していた個人の元事業主が、法人の代表取締役となっており、毎年度、変更届出書を適正に提出していた等の要件が満たされる場合は、許可番号を引き継ぐことができます。
個人で許可を受けていますが、代替わりで子どもに許可を承継させることはできますか?
建設業の許可は個人に対して与えられていますので、許可をそのまま承継することはできません。
ただし、子どもが事業主を補佐した経験が7年以上ある場合は、新規に許可を受けられる場合があります。
専任技術者が退職した場合、建設業の許可は取り消されますか?
早急に要件を満たす代わりの者で専任技術者の変更届を提出しなければなりません。もし、要件を満たす者がいなければ、許可の欠格要件に該当することになり、許可の取り消しとなります。
専任技術者を従業員1人だけに頼ってしまうと、このような事態が起こりえますので、複数の有資格者を育成しておいた方が安心です。
本店の所在地が滋賀県外に移転した場合、どんな手続きが必要ですか?
知事許可を受けている方が県外へ本店を移転した場合、移転先の都道府県知事に対して新規(許可換え新規)の申請を行う必要があります。また、大臣許可を受けている方については、変更届出書により本店移転の届けを行うこととされています。
なお、本店を移転したことにより営業所の設置区域(1つの都道府県にだけ営業所を置くか、2つ以上の都道府県に営業所を置くか)が変わる場合にも許可換え新規の申請を行うことになります。
経営業務の管理責任者・専任技術者・役員等の変更の届出を提出しないまま更新の時期を迎えました。更新の申請書を提出すれば変更届の提出は省略できますか?
変更届の提出は省略できません。更新の申請は「既に受けている許可をそのままの要件で続けて申請」することなので、変更が生じている場合には、更新の申請の前に変更の届出を行う必要があります。
また、更新の申請と同時に上記変更を行う場合にも、更新申請書と同時に、別途変更届出書等を提出しなければなりません。
商号、所在地、資本金、法人の役員を変更したときはどんな届出が必要ですか?
商号、所在地、資本金、法人の役員の他、営業所(支店等)の名称・所在地・営業所長(令第3条の使用人)・許可業種、個人事業者の名称を変更したときは、変更届出書(様式第22号の2)の提出が必要です。
令第3条の使用人については変更後2週間以内、その他については変更後30日以内に届出を行う必要があります。
特定建設業の許可を受けていますが、更新直前の財務諸表で自己資本が4,000万円以下となってしまいました。許可の更新はできますか?
この場合、許可の更新はできません。
特定建設業を廃業し、一般建設業について新規申請を行う必要があります。特定建設業の場合、許可の申請(更新・業種追加含む)において財産的基礎のすべてを満たすことが求められ、一つでも満たさない場合には許可が受けられません。
なお、特定建設業の場合は下請保護を主な目的に制度化されたものであるため、一般建設業とは異なり常にその財産的基礎を維持していることが必要です。
建設業許可を受けた後に建設業者が行わなければならない手続きは何がありますか?
建設業許可を取得後の主な手続きは次の通りです。
- 毎事業年度終了後、4か月以内に決算報告の提出が必要となります。
- 許可の有効期限は5年となりますので、有効期限の満了の日の30日前までに更新申請が必要となります。
- 商号・名称、役員、所在地などの変更をした場合は、30日以内に変更届の提出が必要となります。
- 経営業務管理責任者、令3条使用人、専任技術者が交替した場合は、14日以内に変更届の提出が必要となります。
決算変更届に添付する工事経歴書(様式第2号)の「配置技術者氏名」は何を記入すればよいですか?
工事経歴書(様式第2号)の「配置技術者氏名」には、その工事の主任技術者又は監理技術者として配置された技術者の指名を記入する必要があります。
この欄の記載を誤ると、専任性が必要な工事に配置している技術者が、同時期の別の工事にも配置されている又は営業所の専任技術者が遠方の工事に配置されているという建設業法違反の疑義が生じることもありますので、正確に記入してください。
許可更新の申請書で経営業務管理責任者を変更し、変更届の提出を省略することはできますか?
省略することはできません。
更新申請は、「既に受けている建設業の許可を、そのままの要件で申請する場合」であることから、更新申請とは別に(更新申請の同日以前)経営業務管理責任者の変更届を提出し、経営業務管理責任者の審査確認(受付)が終わった後、更新の申請をしなければなりません。その他の変更(専任技術者、代表者名等)がある場合も同様です。
ただし、更新の提出期限が迫っている場合は、更新申請と同時に変更届を提出することも可能です。
経営事項審査と競争入札参加資格との関連はどのようなものですか?
県が発注する建設工事や設計などの競争入札に参加できる者は、県がその資格を有すると認めた者に限られます。
したがって、競争入札に参加を希望する者は、あらかじめ定められた申請書類を県に提出し、資格を有するかどうかの審査を受けなければなりません。
この競争入札参加資格の格付は、客観的要素の評定数値と技術・社会的要素の評定数値の合計により行っています。その際、客観的要素の評定数値として経営事項審査の数値を用いています。
ちなみに、経営事項審査について詳しく説明しますと、
建設工事の適正な施工を確保するため、建設業法による最低必要条件としての許可制度が設けられていますが、それに加えて工事の規模や施工技術など具体の工事においては要求する技術水準などが違うため、これに見合う建設業者を選定するために設けられた制度です。
このため、公共性のある施設又は工作物に関する建設工事(以下、公共工事という。)を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、その経営に関する客観的事項について、建設業の許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事の審査を必ず受けなければなりません。経営事項審査の義務付けの対象となる公共工事は、国、地方公共団体、法人税法別表第1の公共法人及び特殊法人等が発注者で、工事1件の請負代金が建築一式工事にあっては1,500万円以上、その他の建設工事にあっては500万円以上のものです。
また、注意が必要なのは、県と建設工事の請負契約をする場合は、その契約時点で有効な経営事項審査の結果通知を有していなければ県と契約を結ぶことはできません。もし、有効な結果通知を有せずに入札に参加し落札した場合は、違約金を課されるとともに、一定期間指名停止されることになります。
県の建設工事の入札に参加する場合は、建設業の許可を持ち、経営事項審査を受け、県の競争入札参加資格を取得していなければ参加することはできません。
建設業許可の更新申請を行いましたが、今受けている許可期限が到来し許可が切れましたがまだ更新の通知がきません。この場合、建設業許可がないので500万円以上の工事を請け負うことはできなくなるのですか?
建設業許可の更新申請書を提出した後に、現在の建設業許可期限が到来した場合でも、許可の更新申請に対する処分(更新又は更新拒否)がされるまでの間は、現在受けている建設業許可が有効とされます(法第3条第4項)から、従来どおり営業することができます。
なお、更新申請を忘れているなどの理由で行わなかった場合は、有効期間を満了した時点で許可が失効してしまいます。そして、新規で許可を申請することになりますので、許可番号も変わることになります。
会社として、「土木工事業」と「舗装工事業」の許可を持っていますが、主たる営業所では、「土木工事業」と「舗装工事業」を、従たる営業所では「舗装工事業」のみを許可業種とすることはできますか?
可能です。建設業許可は一企業体を基準に取得するもの(個人業であれば当該個人に、法人であれば法人格に許可が付与されます。)ですので、主たる営業所で営業する許可を、従たる営業所で営業しないとしても問題ありません。
ただし、従たる営業所において「土木工事業」は軽微な建設工事であっても営業することはできません。従たる営業所で「土木工事業」を営む場合は、「土木工事業」について専任技術者を追加登録する必要があります。
個人事業主が事業の継承を行った場合や、個人から法人に組織換え(法人成り)を行った場合、廃業届(様式第22号の4)の提出は必要ですか?
個人事業主が事業の継承を行った場合や、個人から法人に組織換え(法人成り)を行った場合等には提出が必要となります。
その他にも廃業届は以下の場合に提出する必要があります。
- 許可を受けた個人の事業主が死亡したとき(届出者:相続人)
- 法人が合併により消滅したとき(届出者:役員であった者(通常代表権を有していた者)元代表取締役)
- 法人が破産手続開始の決定により解散したとき(届出者:破産管財人)
- 法人が合併又は破産以外の事由により解散したとき(届出者:清算人)
- 許可を受けた建設業の全部又は一部を廃止したとき[自主的に廃業する場合や許可要件を満たさなくなった場合など](届出者:許可を受けている法人又は個人)
決算変更届の提出を忘れていた場合どうなりますか?
建設業の許可を維持するためには5年毎に更新しなければなりませんが、この更新をするためには毎年、決算変更届を提出していなければなりません。
仮に決算変更届を提出し忘れていたとしても許可の更新前であれば、まとめて提出することもできないわけではありません。
結論を言えば、5年分の決算変更届をまとめて提出しても更新することは可能です。
ただ、可能というだけでメリットは何もないので、期限までにしっかり提出されることをお勧めします。
ちなみに、決算変更届の提出期限は、事業年度終了後4ヶ月以内とされています。
事業年度とは、個人事業主の場合は1月~12月、法人の場合は法人ごとに異なっています。
決算変更届を期限までに提出しなかった場合どうなりますか?
まず建設業の許可を取得すると、毎年決算終了後、4ヶ月以内に決算変更届を提出しなければなりません。
この決算変更届を提出しなかった場合ですが、結論から言うと、特に罰則などは設けられていません。しかし、明らかに法令違反ですし、許可業者としての信用問題にもかかわってきますので、確実に期限を守って提出されることをお勧めします。
また、5年毎の許可の更新の際に、決算変更届が1年分でも未提出になっていると更新することができません。
この場合は、未提出の年度の決算変更届をまとめて出すことで、更新の申請をすることはできますが、なかなか大変な作業になってしまいます。
特に工事経歴書などは、数年分をまとめて書くことは至難の業かもしれません。
そして、決算変更届をすべて出すまでは、更新の申請もできないわけですから、ここで時間を取られてしまうと、結果的に更新の期限にも間に合わないという事態も招きかねません。
※)当事務所では、決算変更届の代行も承っております。もちろん数年分をまとめて作成することも可能ですので、もし決算変更届でお困りでしたら一度ご相談いただければと思います。
変更届はいつまでに提出しなければなりませんか?
変更の種類によって提出期限が異なります。原則として変更があった場合に、その都度、変更届を提出することとされています。
ただ、決算変更届だけは、毎年決算終了後4ヶ月以内に提出しなければなりません。その他の変更に関しては、次のように提出期限が決められています。
変更の種類(決算終了後4ヵ月以内)
- 事業年度終了変更届(決算変更届)
- 国家資格者等・監理技術者の変更届
変更の種類(事実発生から30日以内)
- 商号または名称の変更
- 営業所の名称・所在地の変更
- 営業所の新設
- 営業所の業種変更 ※既許可業種のみ可
- 営業所の廃止
- 資本金額の変更(法人)
- 役員等の変更(法人)
- 事業主の氏名の変更(個人) ※婚姻等による氏名変更の場合
- 支配人の氏名の変更 ※婚姻等による氏名変更の場合
変更の種類(事実発生から2週間以内)
- 営業所長の変更
- 経営業務の管理責任者の変更
- 経営業務の管理責任者の氏名の変更 ※婚姻等による氏名変更の場合
- 専任技術者の変更
- 専任技術者の氏名の変更 ※婚姻等による氏名変更の場合
- 一部の業種の廃業
なお、経営業務の管理責任者と、専任技術者に関する変更以外の変更届は郵送で提出することもできます。
法人の場合、決算変更届にはどのような書類が必要ですか?
法人か個人かによって提出書類が多少違ってきますが、滋賀県の法人の場合には次のような書類が必要とされています。
- 変更届出書 (県様式1号)
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度の工事施工金額
- 財務諸表 貸借対照表
- 財務諸表 損益計算書・完成工事原価報告書
- 財務諸表 株主資本等変動計算書
- 財務諸表 注記表
- 財務諸表 付属明細表
- 事業税の納税証明書(原本)
- 事業報告書(株式会社のみ)
また、事業年度内に、「使用人数に変更があった場合」「営業所長の異動があった場合」「定款の変更があった場合」「健康保険等の加入状況に変更があった場合」には、それぞれの変更内容を報告する書類が必要です。
ちなみに財務諸表とは、決算報告書をもとに建設業法に沿ったかたちで一部修正して作成する書類のことです。
許可の更新期限を過ぎた場合、許可番号も変わるのですか?
更新期限を過ぎてしまうと、新規申請扱いで許可を取り直すことになります。そして、原則として有していた許可番号も変わってしまいます。
しかしながら、知事許可の場合、次の2つ要件を満たしていれば、許可番号を引継ぐことができるとされています。
- 許可が切れた日から3ヶ月以内に新規の許可申請をすること
- 決算変更届を含む、建設業法で規定する届出書を提出していること
言い換えれば、この2つの要件を満たせていないと、許可番号の引継ぎはできず、番号自体が新しいものに変わってしまうということです。
毎年の決算変更届が期限内にしっかり提出できているのであれば、すぐに許可申請をして許可番号を引き継ぐようにした方がよいでしょう。
業種追加をしたいのですが決算変更届が未提出だと無理でしょうか?
決算変更届が提出できていない年度がある場合は、業種追加の申請を受け付けてもらうことはできません。
この場合、未提出となっている決算変更届を全て提出すれば業種追加の申請をすることが可能になります。
しかし、元請から急ぎ業種追加をするように言われたり、大きな工事の話が入ってきたなどの理由で早急に業種追加をしなければならないときには、決算変更届を提出する時間の分だけ遅くなってしまいます。
その意味でも、決算変更届は必ず提出しておくようにしましょう。
ちなみに、県のマニュアル等でも「決算変更届の提出期限は、事業年度終了から4か月」とされていますが、実質、決算変更届にかけられる日数は限られています。
通常、法人であれば、事業年度終了から2,3ヶ月で税務署への決算申告を行うという流れになると思います。そして、その後、税務申告をもとに決算変更届を作成するわけですから、実質1ヶ月~2ヶ月程度しか日数が取れない計算になります。
4ヶ月あるから大丈夫!と思われる方も多いですが、業務が忙しい中で処理するのは難しい場合もあります。決算変更届は業種追加の申請だけでなく、更新の申請にも影響してくる重要な届出になりますので注意が必要です。
更新申請はいつから受け付けてもらえますか?
更新申請の期限は許可有効期間の30日前とされていますが、更新申請を受け付けてもらえる時期は当道府県によって違います。
- 知事許可の場合は有効期間満了の日の3カ月前から
- 国土交通大臣許可の場合は有効期間満了の日の6カ月前から
それぞれ受け付けてもらうことができます。
この受け付けてもらえる時期については、全国共通だと勘違いされていることが多いので注意が必要です。
建設業の申請は、都道府県によって少しずつ異なる項目が多くあります。一般的な書籍やマニュアル、ネットの情報では間違うことがありますので、必ず許可を受けている都道府県の情報をチェックするようにしましょう。
更新と業種追加を同時に行うことはできますか?
更新と業種追加を同時に行うことは可能ですが、この場合は業種追加をしようとする際に、有効期限が残っている別の業種の許可も、同時に更新をすることができます
この方法は、許可の一本化と同様の考え方です。
ちなみに許可の一本化とは、更新手続きを行う際に、有効期限の残っている他の許可についても、同時に更新をするように、許可を一本化し、許可の有効期限を調整することをいいます。
こうしておくと、更新期限の管理が楽になり、更新の手数料も1回の申請分ですみますので経費の面でもとても経済的です。
ただ、業種追加の際に更新も同時に行う場合は次のような注意が必要です。
たとえば、更新申請については問題なく受理される内容であっても、追加申請について不備等の問題が生じた場合は、いずれの受理も拒否されてしまうことがあります。
業種追加の申請の訂正に時間を取られているうちに、有効期限の残っている業種の更新期限を過ぎてしまっては一本化する意味がありませんよね。
建設業の申請はいろいろと複雑な部分があります。ご不明な点や、ご不安な点は当事務所までお気軽にご相談ください。
決算変更届を提出する際に必要な納税証明書とは何ですか?
決算変更届に添付する納税証明書は、税金を滞納せずしっかり納めてることを証明するための書類です。
所轄の都道府県事務所等で発行してもらえますが、建設業の許可区分(知事か大臣か)や個人か法人かの違いによっても少し内容が変わってきますが、具体的には次のようになります。
個人で知事許可の場合…「個人事業税の納税証明書」を所轄の都道府県事務所で取得
個人で大臣許可の場合…「申告所得税の納税証明書」を所轄の税務署で取得
法人で知事許可の場合…「法人事業税の納税証明書」を所轄の都道府県事務所で取得
法人で大臣許可の場合…「法人税の納税証明書」を所轄の税務署で取得
ちなみに、毎年の決算変更届には直近の納税証明書でOKです。
ただ、決算変更届の提出を忘れてたということも無いとはいえません。
その場合に未提出分の決算変更届をまとめて提出することも可能ですが、納税証明書は直近3年分しか発行してもらえません。
つまり、3年より前の決算変更届を提出しようと思うと、納税証明書が添付できないことになってしまいます。この場合には、始末書の添付を求められることがあります。
やはり決算変更届は毎年しっかり提出するに越したことはありません。
変更届は郵送でも提出できますか?
一部の変更届を除いては、県へ郵送することでも受付をしてもらえます。
一部の変更届とは、17種類ある変更届の内の、「経営業務の管理責任者の変更」「経営業務の管理責任者の氏名の変更」「専任技術者の変更」「専任技術者の氏名の変更」の4つです。
つまり、建設業許可の重要な要件である、経営業務の管理責任者に関するものと、専任技術者に関するものは、郵送では受付けてもらえないということです。
これらの変更届に関しては、直接、滋賀県庁の監理課へ持参して提出しなければなりません。
建設業許可申請も郵送では受付けてもらえませんので、この規定も当然といえば当然のことです。
ちなみに、郵送にせよ持参するにせよ、提出部数には注意が必要です。具体的には次のように決められています。
【知事許可】
正本(提出用)1部、副本(申請者控)1部、入力用1部(入力用とは様式第7、8、11-2、22-2(第一面)(第二面)、22-3、22-4号です。)
【国土交通大臣許可】
正本(提出用)1部、副本(申請者控)1部
知事許可と国土交通大臣許可では微妙に提出部数も違います。
このように、変更届ひとつにしても、なかなか手間が掛かりますが、変更届の未提出であると更新ができないこともあります。
そうならないためにも、変更届はその都度、決められた期間内に提出するようにしましょう。
変更届(決算)を出す際に工事経歴書はどのように書けばいいですか?
事業年度終了変更届(決算変更届)に必要な工事経歴書は、建設業許可を受ける際に提出したものと書き方は基本的に同じです。
様式第2号という用紙に書いていきます。
決算変更届の工事経歴書は、許可を受けている業種について作成すればOKです。
たとえば、2つの工事を扱う建設会社があるとして、1つは許可を受けていて、もう1つは許可を受けていないが軽微な工事を行っているとします。この場合、許可を受けていない業種の方は報告する必要はないということです。
また、経営事項審査を申請するかしないかによっても書き方は変わってきますが、ここではわかりやすいように申請しない場合で説明します。
ポイント1.完成工事について記載します
滋賀県の場合は、主な完成工事について、請負金額の大きい順に10件以上記載します。
または、完成工事高の7割以上の記載でOKです。
続けて、主な未成工事のうち、技術者の専任が必要な工事等があれば記載します。
ポイント2.工事名は具体的に記載します
工事名は「現場名+工事名称」を記載するようにします。これも都道府県によって多少の違いがありますが、滋賀県では次のような書き方が推奨されています。
例)『〇〇ビル新築工事(うち、外構工事)』
ポイント3.工事現場は市区町村まで記載します
工事現場は、都道府県及び市区町村名まで記載します。
例)『滋賀県大津市』『滋賀県草津市』
役員に変更があった場合の変更届には何が必要ですか?
役員に変更があった場合の変更届は、新たに役員に就任した場合と、役員を辞任・退任した場合とでは必要となる書類が異なります。
まず、新たに役員に就任した者がいる場合の変更届は、変更届出書(様式第22号の2)、誓約書(様式第6号)、新たに役員に就任した者の住所・生年月日等に関する調書(様式第12号)、後見等登記事項証明書、身元証明書、(就任日が記載されている)登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が必要となります。
次に、役員を辞任・退任した者がいる場合の変更届は、変更届出書(様式第22号の2)、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が必要となります。
なお、辞任・退任した者が経営業務の管理責任者である場合は、経営業務の管理責任者を変更する必要がありますので、経営業務の管理責任者証明書(様式第7号)も提出しなければなりません。
また、その者が専任技術者である場合は、専任技術者も変更する必要がありますので、専任技術者証明書(様式第8号)も提出しなければなりません。
経営業務の管理責任者や、専任技術者は、役員が兼ねているケースが多いと思います。役員の変更が生じた場合には、どのような変更届を提出しなければならないか注意が必要です。
有限会社から株式会社に変更した場合にも変更届は必要ですか?
商号または名称の変更について変更届を提出する必要があります。
変更届の添付書類としては、履歴事項全部証明書(商業登記簿謄本)、印鑑証明書(原本)、定款の写しが必要になります。
履歴事項全部証明書と印鑑証明書は法務局で発行してもらえます。滋賀県庁へ直接提出する場合は、大津地方法務局でこれらの書類を取得してから行けばスムーズです。(ちなみに、商号または名称の変更届は、郵送でも届出可能です。)
なお、有限会社から株式会社の組織変更に伴って、資本金や役員の変更などがあった場合には、それぞれに変更届が必要になりますので注意してください。
許可換え新規とはどのような申請ですか?
建設業許可申請の「許可換え新規」には次の3つのケースが当てはまります。
①知事許可業者が他の都道府県へ営業所のすべてを移転した場合
許可権者が変更になりますので、移転先(主たる営業所の所在地)の都道府県知事に対し新規の許可申請が必要です。
たとえば、滋賀県知事の許可を受けて、滋賀県のみに営業所を置く業者が、三重県に全ての営業所(本店や支店)を移転した場合は、新たに三重県知事の許可を取得しなければなりません。
②大臣許可業者が他の都道府県の従たる営業所をすべて廃止もしくは廃業して、単独の都道府県のみで建設業の営業をすることになった場合
主たる営業所のある都道府県知事の許可になりますので、主たる営業所の所在地の都道府県知事に対し新規の許可申請が必要です。
たとえば、滋賀県・京都府・福井県に営業所を置く大臣許可業者が、経営上の都合などで、京都府と福井県の営業所を閉じて、滋賀県のみに営業所を置くことになった場合は、新たに滋賀県知事の許可を受けなければなりません。
③知事許可業者が他の都道府県に従たる営業所を新たに設置した場合
国土交通大臣許可になりますので、主たる営業所の所在地の都道府県知事を通して各地方整備局長に対し新規の許可申請が必要です。
たとえば、滋賀県知事の許可を受けて、滋賀県のみに営業所を置く業者が、岐阜県にも営業所を置く場合は、新たに大臣許可が必要になります。この場合、岐阜県知事の許可が必要となるわけではありませんので注意してください。
ちなみに、許可換え新規では、異動先の新たな許可が出た時点で従前の許可は失効するため、廃業届を出す必要はありません。